剣道教士八段、加茂先生の口癖であり、58年間の剣道人生の中で、変わらず持ち続けてきた信念である。
『いい姿勢、 いい構え』
師匠は本当にこれだけを心に刻みながら58年間修練し続けてきたし、 今もこの気持ちのままで修練を続けておられます。
剣道には、人柄や考え方が、本当によく反映される側面があります。
若い時分などは勝ちにあせるほど、小手先のフェイントよろしく、または力任せになったりするわけですが、一度は通用しても到底継続できるものではありません。
そんな個性がついぞ溢れてしまう世界の中で、あくまでも基本の型、いい姿勢、いい構えを続けて来られるということがいかに稀なことであるか。
そしてそのことを継続してきた人が、一体どのようなレベルに達するのかということを、今回も目の当たりにすることができました。
練習の後の雑談タイムの折、姿勢の話の延長線上に、剣道実技を伴う秘伝の体験学習が始まったのでした。
それは恐ろしいほどに理にかなっている所作の数々なのですが、 頭で理解しても、体が反応できるかと言うと、全く別問題であり、いかにこのレベルに達するまでにどれほどの修練を必要とし、また継続が必要であるかということだけは身にしみて理解することができました。
しかし、それは見事なまでに無駄のない、 『いい姿勢、 いい構え』 であったのです。
奇をてらわず、 基本に忠実に、 孤独であれ、 何であれ、 いい姿勢、 いい構え。
これだけ守って58年。
その成果物である怪物が目の前にいるわけで、 なんとも幸せであり、 見てはいけないものを見てしまったようであり、 自分に置き換えて見てしまうとあまりの不甲斐なさにかなりへこんでしまったり・・・
手本がよすぎるのか、 悪すぎるのか、 まあため息が出ます ・・・ ふぅ。
しかし、 この考え方や姿勢感は、あらゆる世界において今後益々必要であり、改めて構築しなおされるべき価値感だとは思われるのですが、 出来てない人間がどうのこうの言っても仕方がありません。
あぁ~ 、 凄すぎるぜ 師匠 ~ 。