最後の挨拶に、塔さんの実の弟さんが立たれました。
すでに弟さんも高齢者となっており、壇上に上がるのも介助が必要でしたが、そのお年になるまで悩み続けたそうです。
塔さんを実家の墓にいれていいものかどうかと・・
最後の決断に至れたのは、弟さんを強く後押しした、まさに田ノ浦の地元の方々のおかげだったそうです。
「わしらはなんもおもっとらん」 「一緒に居たかった両親の墓に入れてあげい」
こんなやり取りがかれこれ合ったそうです。
ご存知のように今では分骨されて、ご両親とともに眠りにつかれておられますが、
それほど悩まずにはおられないほど、それほどまでにあまりにも強烈な体験をされたのでしょう。
身内にハンセン病がいるということが知れたら、自分たちも恐ろしい目に合わされるという体験。
国を挙げて、逃げる場所がないほどの差別意識が作り上げた心の闇は、あまりにも深い傷跡を作ってしまったようでした。
その病気に伝染性がないことなど、とうの昔に証明されているはずにも関わらず、地元の人々が歓迎してくれているにも関わらず、これほど人々に愛される存在となっているにも関わらず、今でも悩んでいるというのです。
嗚咽しながら、そんな自分のふがいなさに落胆し、そして人として、良心に従おうとする心の葛藤を、丁寧に正面から見据えて語ってくれた弟さんに、深い尊敬を感じたのでありました。
その会場には地元の小中学生たちも顔を出しており、過去にあった差別の世界についても考えるきっかけにもなったことでしょうし、そんなご苦労をされたであろう人が、今では地元の誇りとして迎えられている姿を垣間見て、自分たちの住む町がまた一つ好きになるきっかけになったらいいなぁと思った次第です。
あらためて心からご冥福をお祈りいたします。
余談ですが、この歴史文化博物館にはいくつかの展示場がありますが、常設の一つに和紙彫塑による「弘法大師空海」の世界 密●空と海-内海清美(うちうみきよはる)展 http://www.i-rekihaku.jp/exhibition/new_jyousetu/index.html があります。
エヒメデザイン協会会長のビンさんの元先生でもある内海さんのすばらしさは言うまでもないと思いますが、知らなかった若者たちにも少しご紹介。
愛媛の和紙でこんな世界を作ることができるのですよ。
一部ですが、ごらんあれ。