青葉土地コーポレーション 青葉土地コーポレーション
ブログ
くちびるに歌を持て 心に太陽を持て  ⑰

昨夜は松山市の「ことばのちから」がグッドデザイン賞をとった祝賀会がありました。

私は数か月前にハメられて(?)実行委員会に入会したばかりですので、お役にたったことは何もないのですが、草創期からの諸先輩も参加されており、その方々のお話にとても興味がありましたので聞かせていただいてまいりました。

本当に行政としては画期的な人材が集まり、民間と調和しながら育っていったのだなあということが伝わりました。

形のないものにもデザインがある。

その精神を認めていただけた幸せは、ひとしおだと思います。

おめでとうございます。 諸先輩の皆様。

 

松山の街にあふれる単なる言葉が、それでも市民を勇気づける。

ホッとした気持ちにさせる。

笑顔にさせる。

見えないはずの言葉が心を動かす。

誰かの思いが言霊となり、誰かの心に灯をともす。

 

 

今回の小檜山節も、誰かの心に灯をともすのかな?

 

「理念と経営」より

帰ってくる夫    小檜山 博

“ ぼくが書斎で、ある雑誌に書く素材を考えているとき、茶の間から近所の奥さんがぼくの妻に話をしている声が聞こえてきた。 奥さんは四十半ば、ある会社の網走支店長だというご主人は五十歳くらい、高校生の娘と中学生の息子がいるご夫婦だ。

「夫、4年前から単身赴任で網走でアパート暮らししているんだけど、毎週、金曜日には札幌へ帰ってくるのよ。 支店長といっても夫一人っきりの支店。 網走から札幌まで特急列車で5時間以上かかるのよね。 夫、金曜日の夜の11時に家へ帰ってきて、日曜日の夕方にはまた汽車で網走へ行くんだけど、4年間、一度として金曜日に帰ってこなかったことないのよ。 往復11時間もかけて疲れにくるようなものでしょ。 おかしいのは帰ってきた日も缶ビール二つ飲んで、1時間くらいテレビの前で腕枕で横になってうたた寝するだけなの。 私や子どもと話をするわけでもなく。 子どもにはいつも網走駅の売店から饅頭を土産に買ってくるんだけど、4年間同じ物で子どもが飽きたと言っても「そんなこと言うけど、それしかないんだもな」と笑って同じ物を買い続けてるのよ。

帰ってきた次の日も一日、茶の間でごろごろ横になっているだけで何もしないの。 子どもらは陰で、「いったい何しに帰ってくるんだろうね。汽車賃や時間もったいないのに」と言うのよ。 私も初めはそう思っていたけど、考えてみれば夫が自分の家へ帰ってくるのって当たり前のことなのよね。 おかしいなんて思う私や子どものほうがおかしいんだと気づいたのよ。

なんたって夫は4年間で200回も帰ってきてくれたのよ。 地球を5周するほどの距離よ。 そのために電車に乗ってた時間、なんと84日間にもなるのよ。 そうやって家へごろ寝をしに帰ってきたわけよ。 そう思うと私、泣きたくなっちゃった。 こんなにせっせと帰ってきてくれたのは、夫がどれほどわが家と私たちを大切にしているかということなのよ。 私、 次に夫が出かけるとき、 こんどこそ言おうと思うの。 「あなたが帰ってくると、それだけで嬉しい」って。

 

奥さんの話が終わったときぼくは、よし、この話を書こう、と思った。

 

 

カテゴリ
月別アーカイブ
記事検索