青葉土地コーポレーション 青葉土地コーポレーション
ブログ
田舎を経営する
2016年2月16日 | 雑記

人口減少に歯止めをかけ、地方は消滅を避けられるのか?

「田園回帰1%戦略」の著者、藤山 浩氏はいう。

 

“ 毎年、人口の1%にあたる定住者を増やすと、人口5千人の村なら、毎年50人の移住者を受け入れることで人口減に歯止めがかかり始め、30年後の時点では総人口と14歳以下の子どもの数は、いずれも少なくとも現在の9割以上を保つことができ、高齢化率も現在より低くなります。 だから毎年1%分の人口を取り戻しませんかという戦略です。

「人口分析・予測プログラム」を開発し、島根県内の中山間地域や離島で毎年どれだけ各世代の定住者が増えればいいかを算出したところ、総人口の1%だった。 全国の山間地域全体でシミュレーションしてみても、1%であった。

ただ、気をつけてほしいのは単に目標人数を達成すればいいのではなく、20代前半の男女、4歳以下の子どものいる30代前半の夫婦、定住後の60代前半夫婦という三つのパターンを、バランス良く増やすのが大切。

対象が中山間地域というのは、人口減少や高齢化が顕著な地域ですが、最近目立ってきた若者らの地方移住、「田園回帰」で移住先に選ばれているのは、こうした「田舎の田舎」なのです。

都会を「卒業」した若者が向かう先は、「ミニ東京」のような地方都市ではなく、田舎の田舎。

地方都市は「1%戦略」の対象にしていませんが、周辺の中山間地域の人口が維持されればおのずと回復します。 すそ野の人口が減って、地方都市の人口維持はありえません。

実際、島根県の中山間地域にある227地区の人口を5年前と比較すると、4歳以下の子どもの数が増えた地区が3分の1もあります。 維持も合わせると4割を超えます。 こうした地区では親の世代も増えていて、子連れ家族が移住しているのです。 集落調査でも県の中山間地域全体で5年間に約7千人のUターンやIターンがあったことが分かっています。

これは島根だけの話ではなく、長野県や高知県など各地で田園回帰が加速している実感があります。

 

5千人の村が毎年50人の移住者を呼び込むのはハードルが高そうですが、、たとえば500人の地区が10あって、地区ごとに考えれば、移住者5人なら、子どもが1人いる30代夫婦と60代夫婦を一組ずつ増やせば目標達成です。 だから人口減対策は市町村と、さらに小さな公民館区などの「2階建て」で考える必要があるのです。

自分たちの地域を守ると住民が考えるとき、思い描くのは市町村単位でなく、一次生活圏である公民館や小学校区単位です。 そうした地元に「あと2組で大丈夫だ」と具体的な目標ができることによって、住民は頑張れる。 受け入れのための空き家補修などやらなくてはならないペースも見えてきます。

 

移住者の所得に関しては、毎年、地域人口の1%が新たに定住するためには、地域全体の所得を1%増やせばいいことになります。 その分、地域で回るお金を増やす必要がありますが、これまで自治体はあまりに「外貨獲得」に重きを置いてきました。 その御三家が、大工場誘致、観光客誘致、特産品開発です。 これを否定はしませんが、こればかりを狙って三振を繰り返してきたのが多くの地方の歴史ではないでしょうか。

たとえば島根県のある地方都市圏では、住民の総年間所得額1556億円にほぼ匹敵する1420億円のモノやサービスが域外から調達されています。 少々、観光や特産品で外貨を稼いだとしても、稼いだ先から域外にお金が流出している。 だったら域外から購入していた金額の1%分のモノやサービスを域内で調達すればいいのです。

地域で回るお金が増えるという意味では、総所得の1%分の外貨を稼ぐのと同じ効果があるということです。

これならどんな地域でもチャレンジできます。 5年前に訪ねたイタリアの山村では驚くほど多様な生業が息づいていました。 パスタ職人、ワイナリー、建具屋さん、薪屋さん。 衣食住やエネルギー一式が地元でそろい、地域の経済を回している。 そこまで行かなくても、毎年ほんの一部を地元に取り戻せばいいのです

島根県邑南町は町の総合戦略に、64人という毎年の定住者の目標を書きこみ、12ある公民館単位ごとの活動が始まっています。 出羽という地区では住民が合同会社を立ち上げ、新規就農のIターン者をすでに募集しています。

ほかにも岩手県西和賀町、長野県喬木村、石川県能美氏など5市町村も地域再生に「1%戦略」を取り入れています。

 

ただ、それ以外に大切なことは、人口を増やせばいいと考えないことです。 人口とは生きている一人ひとりの人生の数です。

「こんな田舎、どうしようもない」と地元の人が思っている地域に移住者は来ません。 まずは住民自らが地域を磨くことが大切です。 移住が増えている地域は、住民と行政がそうした地道な努力を10年くらいやってきたところばかりです。

日本のこの50年間は過疎と過密の半世紀でした。 その結果として、地方の中山間地は人口減にあえいでいる。 かたや一気に同世代が入居した都市部の団地は今、一斉に高齢化しています。 どちらも長続きしない地域社会になっている。 毎年、1%ずつの定住増には意味があって、一気に増やしては駄目です。 団地の失敗を繰り返してしまう。 じっくりと落ち着いて持続可能な地域を取り戻す。 そのための1%なのです。 ”

 

 

 

東京の大学を出て、いったん広島県で働いた後、38歳のときに島根に戻り、地に足がついた、手ざわり感のある暮らしがしたいと田舎暮らしを始めた藤山さん。

集落総出の草刈りなど面倒くさいこともたくさんあるが、手間暇かけて自分たちが地域を守り、つくる喜びがあると言う。

葬式で集落のみんなが集まると「おじいさんはこんな人じゃった」という話になる。 個人の記憶が地域で継承されていく。 それは尊いことだし、自分もそうされたいと思うと言う。

単に人口を増やしたいという田舎の都合だけで「1%戦略」を言っているのではなく、都会とはまた違う、豊かな暮らしがあると思っているからと結んでいる。

 

理想論だと思う人もおられるでしょうが、現実として島根県の7市町村が、この5年間で人口の「社会増」を経験している。

実に示唆に富んだ内容で、あらゆるジャンルの方々が参考になる可能性を秘めていると思う。

ご一読をお勧めします。

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリ
月別アーカイブ
記事検索