先週末の土曜日はうちのお嬢の通う上田安子服飾専門学校恒例の上田学園コレクションhttp://www.ucf.jp/topics/index.html?id=104# に行ってきました。 126回目のショーであり、開校69年の歴史を誇る学園を体感できる場所でもあります。
お嬢は今年の3月で卒業します。 最後のチャレンジでこのショーに出品できるかどうかにチャレンジを続けてきたようです。 1000人の学生のうち出品出来るのは約195名、学年は関係なく実力のみの世界です。 去年のチャンピオンは2年生でした。 そのための事前審査は前々に終了しており、なんと今年初めてお嬢は残ることができたようです。 ジャンルは「学生ブランド」 これは一から仲間を集め、そのチームでコンセプトを練り上げ、そのコンセプトにのっとった作品をそれぞれ一人ひとりが創るというもの。 6人のメンバーのレベルが問われるだけでなく、チームであるがゆえの統一感、インパクト等々さぞかし様々な視点で審査されるのであろう。 ここに来るまでに一人ひとりもちろん大変な思いと苦労があったことと思う。 お嬢もたびたびかみさんに泣きごとメールを入れてきていた。 さぞかし行き詰るのであろう。 「自分は底辺の人間である。才能がない。ダメ人間。 ・・・」
そんな言葉をたびたびかみさんは受け取ってきた。 そのたびにかみさんもお嬢と同じ気持ちになり苦しみを共有していた。 どれだけ心の中でエールを送ったことだろう。 しかし、ここまでなんとか逃げずにやってきた。 大したものだと思う。 課題課題で寝る間もなく、その間を縫って今回の作品作り。 2ヶ月間はほとんど寝てないと言っていたが、ショーの翌日彼女のアパートの掃除に行ってびっくりした。 寝る空間がない。 布切れの山、山々、マシン、裁縫道具、型紙・・・
どうやってやっていたのかが判る空間だった。 メンバーの誰もが、 いやほとんどの学生のほとんどがこうなのだろう。 その中から誰かが浮かび上がる。 厳しい世界はどこも同じか。
私はそれまで興味のないただのおじさんであったのだが、彼女のおかげで少し判ってきて改めてびっくりすることが多々ある。 彼女たちが創ってきたものは無地の布を選び、その布を草木染めなどで思い通りに着色し、また装飾加工し、それをパターン化し、カットして、裁縫していく。 もちろんそれ以前にデザインが決まっていなければならない。 どこにもないものを作り出すしか認められるものはない世界である。
そうやって生まれたものだからあれだけたくさんの人の心に染みいるのだろう。 感動となるのだろう。 ショーで見せる先端の感性と技術は見せびらかすためではなく、どんな要望にも答えていくための手段の一つに過ぎないのかもしれない。 その手段を使い、これから彼女たちはそれぞれの場所で誰かのために何かを創っていく存在になっていくのかなぁ。
自分でこの場所を決めて飛び込んだ学園、 そして周りのあまりのレベルの高さに驚き、あっという間に自信を失い、それでも仲間に助けてもらいながら頑張り続けた。 そんな3年間であったと思う。
その劣等感のかたまりのようだったお嬢が仲間とともに舞台の上で表彰されるのを見て、改めてこの学園の力に感謝させていただいた。 あの子をここまで育ててくれたことに本当に感謝の念でいっぱいになった。 厳しくあり続けてくれたおかげである。 素晴らしい指導者の先生方、ありがとうございました。
グランプリを含めて賞は10。 お嬢のチームは繊研新聞社賞という業界新聞社さんの賞でした。 受賞の瞬間、仲間は悲鳴をあげて感極まり喜び合っていましたが、そういう光景を毎年見ながら周りの学生もやる気を維持してきたのでしょうね。 いいものを見せていただきました。
ではしばらくの間ショーの片りんだけでもご覧あれ。
お嬢の作品