青葉土地コーポレーション 青葉土地コーポレーション
ブログ
くちびるに歌を持て 心に太陽を持て⑩ + お知らせ 

しばらく遠ざかっているカテゴリがある。

「くちびるに歌を持て 心に太陽を持て」 シリーズ。

月刊誌「理念と経営」の定番になっているエッセイでもある。 その作者は小桧山 博。 とても好きなタイプである。

しかし、前回ご紹介した後、別の作者さんにバトンタッチしていたのでした。 タイトルは同じ、くちびるに・・・  なのですが、作者が違うとやはり違うのです。 どうしても私と合わないものですから今日までストップしていたのでした。

しかし、 しかし帰ってまいりました。 想像ですが、わたしと同じように感じていた人たちがたくさんいたのではないでしょうか?

相変わらず素敵な文章です。 瞬間の切り取り方がとても鮮やかです。 みずみずしいというか、なまめかしいというか、時空を超えています。 しかしその鮮やかな過去と、数十年後の今が、素晴しいほどに一体化していることに私は素直に感動します。 過去と今が決して別々のものではなく、全く同時に存在していることをこれほど端的に表現できることに憧れます。

復活祭第一弾、 お楽しみください。

 

 

待つということ 小檜山 博  「理念と経営」特集記事

 

“ぼくは携帯電話を持っていない。 必要ないからだ。 雑誌や新聞の連載を6本も持ち、1年に50回の講演に歩くが電話の必要を感じない。 すべて手紙で用が足りるからだ。

27歳で東京に住んでいたころのある日、女と新宿の「田園」という喫茶店で待ち合わせた。 5日前に知り合ったばかりで、名前も年齢も住所も勤めているのかどうかも知らなかった。 ぼくのほうから誘った。

約束の日はぼくの誕生日だった。 ぼくは会社から給料の前借りをしてコーヒー代と食事代を調達し、6時に喫茶店へ行った。

だが7時になっても8時になっても女はこない。 ぼくはいらいらしながらも待った。 連絡しようにも、彼女の家かアパートかの電話も知らなかった。

9時になったとき、ぼくはアタマにきて喫茶店を飛び出した。 女は初めからぼくと会う気などなかったのだと思った。 自分の愚かさに腹が立ち、近くの焼き鳥屋で酒をあおった。

そのとき突然、もしかするとぼくが指定した喫茶店は「田園」ではなく「上高地」ではなかったかと気づいた。

ぼくは焼き鳥屋を飛び出すと、「田園」から200メートルほどのところにある「上高地」へ走った。 時計は10時を回っていた。

息を切らせて「上高地」へ走り込むと、女はいた。 4時間半も待っていたのだ。 眼が濡れていた。 ぼくを見ると大急ぎで涙をぬぐった。

 

その女性が、いまのぼくの妻だ。 結婚して45年たち、ときおりぼくが 「もしあのとき携帯電話でもあって、5分後に待ち合わせ場所の間違いがわかって4時間半待つことがなかったら、俺たち結婚してなかったかもな」 と言うと妻も 「たぶんね」 と笑う。”

 

 

◆ 5月27日より6月中旬までサーバー移行のため書き込みをお休みします。 しばらくの間くどい記事を読まずに済みますのでさぞかしリフレッシュされることと思います。 私も負けずにリフレッシュしまーす。

 

カテゴリ
月別アーカイブ
記事検索